無事に売主さんと物件の売買契約を締結することができ、いよいよリノベーションの打ち合わせがスタートしていきます。
目次
いよいよリノベーションの打ち合わせスタート!
さて、今回のマンションは専有面積が約130㎡と、とても面積の大きなマンションです。
一般的にマンションのリノベーション費用は全面改装(フルリノベーションと言ったりします)の場合、1㎡あたり15万円程度かかることが多いので、今回のペアシティをリノベーションするとなると、130㎡×15万円=1,950万円と、2,000万円近くのリフォーム費用がかかる計算になります。
当然、キッチンやお風呂・トイレ等の住宅設備のグレードや、間取り変更のボリュームなどによって、リフォーム費用は大きく変わってきます。
今回の物件はお風呂や洗面台、キッチンなどは新築当時(35年前)のものがそのまま使われており、カーペットや壁紙も数年前に張り替えられた形跡はあるものの、独特な色味のものになっていたので、残念ながらそのまま使えそうな部分が少ない状況でした。
比較的築年数が浅かったり、売主さんが数年前に設備の交換等をされていたりすると、クリーニングをすればピカピカになりますので、そのまま使える可能性があり、リフォーム費用を抑えることができます。
壁を漆喰にしたり、床に上質なカーペットを使うとなると、リフォーム費用は2,000万円をゆうに超えてしまうような規模感でした。
私にも予算の上限がありますので、すべての希望を叶えることはできません・・・。リフォーム費用を予算内に収める工夫が必要でした。
どんな工夫をしたのか?
リフォーム会社さんにも実際に現地をご確認いただいたうえで、あらかじめ大枠の予算感をお伝えし、打ち合わせを重ねていきました。
今回のリノベーションのポイントは以下の通りです。
① 間取りはほとんど変えない
リノベーションの工事において、間取りの変更はコストアップの大きな要因となります。壁を壊して新たな壁を設置すると、それに伴って床や天井、扉などの建具(たてぐ)、照明などの工事も追加で発生してしまうからです。
一方で、できるだけ既存の間取り(壁)をそのまま利用することができればコストも抑えやすくなります。
4階建以下などの低層マンションの場合は「壁式構造」という構造の物件が多く、お部屋の中に壊すことのできないコンクリートの「耐力壁」が存在する場合があるため注意が必要です。
今回のペアシティは現状の間取りがとても良く、間取りを変更する必要があまりなかったため、既存の壁はほとんどそのまま使えそうでした。
一部、リビング横の洋室(スペアルームと記載されているお部屋です)に大きな収納スペースが併設されており、使い勝手が悪そうだったので、洋室からの扉は塞いでしまって、リビングからアクセスできる書斎にすることにしました。
それ以外はほとんど壁を壊さずに、そのままの間取りで進めることになりました。
② 床はフローリングではなくカーペットのままで!
マンションの管理規約上、フローリングへの変更は認められていましたが、床材の遮音性能についての規定は以下のように記載がされていました。
直床工法の場合、LL-40以上の遮音性能がある施工材料を使用すること。
置き床工法の遮音性能は、LL-45以上及びLH-55以上とする。
専門用語でわかりづらいですが、天然素材の無垢フローリングなどに張り替えるとなると、この規定をクリアするためには床をコンクリート面から離す「置き床工法(床を組む工事)」にする必要がありました。
置き床工法となると床面が今よりも少し高くなるので、天井高は低くなりますし、既存のドアを活用することも難しくなってしまい、大掛かりなリフォーム工事が必要となってしまいます。
工事費用も基本的にはカーペットの方が無垢材のフローリング等に張り替えるよりも安く抑えることができます。
また、実はカーペットはフローリングに比べて足腰への負担が少なく、とても居心地の良い空間を作ることができます。
高級なホテルなどもそうですが、お部屋はだいたいふかふかのカーペット敷きになっていますよね?
自分のお家がそうだとしたら、とても気持ちがいいと思いませんか?
特にベッドルームの床をカーペットにすると、朝起きて、ベッドから降りるときの一歩目がふわっと柔らかく、とても気持ちが良いものです。フローリングだと一歩目がひんやり冷たく、特に冬場などは結構不快だったりします。フローリングOKのマンションであっても、ベッドルームをカーペットにするのはとてもオススメです。
私は今回リフォームを依頼したリフォーム会社さんがリノベーションした、床がカーペット敷きのお住まいを何件も見学をさせていただいており、カーペットの魅力を知っていましたので、床がカーペットであることについては全く抵抗がありませんでした。
むしろ床がカーペットの住まいに憧れていたくらいです(笑)
カーペットにはダニが発生したり、ホコリが舞ったりと、不衛生なイメージを持っている方が多く、サムタイムズのお客様でも敬遠されてしまうことが多いのですが、普通の掃除機がけでダニは防げますし、意外に思われるかもしれませんが、ホコリもカーペットの繊維が吸着するので、人が歩いた時に舞いづらく、フローリングのお部屋に比べると、むしろ空気環境がキレイという見方もあります。
小さなお子さんがいると、どうしても頻繁に食べ物や飲み物をこぼしてしまうので、カーペットを敬遠されるお気持ちはとても良くわかりますが、小学生くらいになればその心配も減ってくるかと思います
③ 壁は漆喰で
一般的な住宅では壁や天井はビニールクロスが貼られていることがほとんどです。
施工がしやすく、仕上がりも綺麗に見えるので販売時にクレームになりづらく、さらにコストも安く抑えられるからです。
どんな新築の高級マンションであっても、ほぼ全ての物件でビニールクロスが採用されています。
壁がビニールクロスの住まいは、いわばビニール袋に包まれた状態で生活しているようなものなので、身体にとってあまり良いとはいえません。
今回のリノベーションでは住み心地にこだわるため、壁をビニールクロスにするのではなく、「漆喰」を採用することにしました。
漆喰は天然の素材である石灰岩から作られた塗料です。消石灰(水酸化カルシウム)にすさ(麻)や糊などを混ぜて作られており、左官職人さんが鏝(こて)を使って手作業で施工します。
壁に漆喰を使うリフォーム会社さんは他にもありますが、漆喰の乾燥によるひび割れを防ぐために、化学的な接着剤等が混ぜ込まれているものが使われている場合もありますので、注意が必要です。
漆喰は昔から蔵やお城の外壁や内装に使われてきた天然素材で、次のような特徴があります。
・不燃性なので、火災があっても燃え広がりにくい
・ 強アルカリ性なので、抗菌効果が期待できる(カビが生えづらい)
・ 静電気が発生しないため、壁面にホコリが付着しない
・ 調湿効果があり、室内の湿度を調整してくれる
・ 多孔質のため、消臭効果が期待できる
・ 耐久性が高く、塗り替える必要が無い
上記の通り、漆喰は非常に性能に優れた天然素材です。
漆喰の表面は細かい粒子でできているため、窓から入ってくる太陽の光が乱反射し、やさしく室内を照らしてくれますし、湿度が高い梅雨のような時期には湿気を吸ってくれ、湿度の低い冬などは湿度を高めてくれるため、明るくて居心地の良い室内環境を作ることができます。
左官職人さんが時間をかけて手作業で施工していきますので、壁紙に比べると費用は高額になりますが、それ以上に得られるメリットは大きいのです。
壁を漆喰にすることだけは譲れなかったので、壁にはこだわることにしました。
ただ、予算の都合上すべての壁を漆喰にすることはできないので、子供部屋は壁紙にすることにしました。
子供たちにはちょっと申し訳ないですが、子供部屋の居心地を良くしすぎると、部屋に引きこもって出てこなくなってしまうかもしれないので…(笑)
壁紙といってもビニールクロスではなく、紙の素材でできた身体に優しい紙素材のクロスにして、床のカーペットと一緒に子供達に好きな色のものを選ばせてあげることにしました。
小さい頃に少しでも住まいづくりに携わるのは、とても良い経験になったと思います。
自分で選んだ壁紙やカーペットなので、愛着も湧いて、大切に使ってくれるものと思います。
④ トイレや扉等の建具はそのまま利用する
数年前に居住者さんがトイレを交換されていたようで、まだまだ使える状態でした。クリーニングをすれば綺麗になるはずなので、トイレはそのまま利用することにしました。
トイレをそのまま利用するだけでも20〜30万円ほどの節約になります。トイレは将来的に住みながらでも交換することができるので、このタイミングで交換する必要性はあまり高くありませんでした。
また、トイレには大きな洗面台が設置されていましたが、リフォーム会社さんからのアドバイスもあり、新しいものに交換するのではなく、あえて残すという選択をしました。
お部屋のドアは新築当時のもので、クラシックなデザインでしたが、非常に良い素材で作られており、ペアシティのマンションの雰囲気との相性もとても良いため、新しいものに交換せずに、表面を塗装しなおして、そのまま利用することにしました。
扉の交換には意外とコストがかかりますので、現状のものが悪いものでなければ、再塗装というのも一つの選択肢です。
なんでもかんでも新品に交換するだけがリノベーションではないのです!!
キッチンと洗面台は経年の傷みがあり、機能面における懸念もあったため、思い切って新しいものに交換することにしました。
⑤ 目線を遮る工夫
リビングの窓からは、お隣のマンションのバルコニーが丸見えという状況でした。
通常の左右に開くタイプのカーテンでは、カーテンを開けている時にどうしても向かいのマンションからの目線が気になってしまうので、今回は上下に開くタイプのシェードを採用することになりました。
上下に開くタイプですと、下半分だけを開けて、目の前のマンションの目線は遮りながら、太陽の光を取り込んだり、バルコニーのグリーンを鑑賞することができます。
主寝室の窓にはウッドブラインドという、木材でできた雰囲気のあるブラインドを採用し、外部からの目線を遮ることにしました。
ブラインドはハネの角度を調節することで、目線は遮りつつも、太陽光や風を通すことができるので、オススメです。
以上が今回のリノベーションの主なポイントになります。
さて、ここからはいよいよリノベーション工事の着工です!
はたして無事に工事は進んでいくのでしょうか…!?
その6につづく・・・。