購入するマンションの広さを確認するとき、ほとんどの方は物件情報に記載されている「専有面積」の ㎡数 だけを確認するかと思います。
㎡数はマンションの床面積の広さを表す重要な指標ですが、もうひとつ、マンションの広さに影響する指標があります。
それは「天井高(てんじょうだか)」です。
目次
天井高とは?
天井高とは、そのマンションの居室の床の表面から天井の表面までの距離を表します。
つまり、実際に目に見える高さのことです。
日本の現在のマンションは建築基準法で、居室の天井高は2.1m以上にしなければならないと定められています。
かつての日本では畳の上で生活をするスタイルが主流だったため、居室の天井高は低く設計されることが多く、築年数が40年以上経ったような古いマンションでは居室の天井高が2.2〜2.3mしかないような物件も多いのですが、築年数が浅めのマンションでは天井高が2.4m程度の物件が多くなっています。
マンションによっては天井高が2.6m以上あるような、天井高をウリにしているような物件もあります。
天井高は高ければ高いほど良いと思われる方が多いのですが、実はそんなことはありません。
お部屋の面積がすごく広ければ、天井高が高くても違和感はないのですが、お部屋の面積が狭いのに、天井高だけが高いとなると、居心地の悪い、落ち着かないお部屋になってしまいます。お部屋の広さに合った、ほどよい高さがあることを覚えておきましょう。
天井高で広さの感じ方が変わる
普段、あまり意識することが無いかもしれませんが、実は天井高が10cm変わるだけでも、その居室にいるときに感じる開放感は大きく変わってきます。
専有面積が広くても、天井高が低いマンションだと圧迫感を感じることがありますし、一方で、専有面積が狭くても天井高が高いマンションだと、視覚的に広さ・開放感を感じることができる場合があります。
リノベーションで天井高は変えられる?
では、リノベーションをすることで、天井高を高くすることはできるのでしょうか?
答えは「マンションによってできる場合とできない場合がある」です。
お部屋の天井がコンクリート面からスペースを空けて施工されている物件(二重天井といいます)の場合は、天井を撤去し、コンクリートをむき出しのデザインにすれば、天井高を高くすることはできます。
最近は天井のコンクリートを表しにするリノベーション事例も多く見かけます。好き嫌いは別れると思いますが、インダストリアルなデザインが印象的です。
二重天井の物件の場合、天井裏に配管やダクトが通っていることが多いですが、コンクリート剥き出しのデザインにすると、配管なども剥き出しになったり、ダウンライトタイプの照明が設置できなかったりするので、要注意です。
また、コンクリートをむき出しにすると、1枚分の壁が無くなることになりますので、上階からの音に対する「防音性」や「断熱性」が下がってしまうというデメリットがあったり、マンションによってはコンクリート面の仕上げが荒く、むき出しにできない場合もあるので注意が必要です。
新築時にはそもそも、コンクリート剥き出しの状態で生活することを想定しているわけではないので、表面が綺麗に仕上げられているマンションは多くありません。<コンクリート面の仕上げが荒い=ダメなマンション>ということではありません。
一方で、コンクリートに対して直接、壁紙が貼られているような物件(直天井といいます)の場合は、そもそもコンクリートの面に仕上げを施しているため、現状以上に天井高を高くすることはできません。
階高(かいだか)とは?
「天井高」以外にマンションの高さを計る指標として「階高(かいだか)」というものがあります。
聞き馴染みのない言葉だと思いますが、天井高とは少し違って、お部屋の “コンクリートの床の表面” から上の階のお部屋の “コンクリートの床の表面” までの距離を表します。
階高が低いマンションは天井高が上げられない?
マンションを建てる土地ごとに、法律や条例で、どの程度までの高さの建物が建てられるかが決まっているのですが、この階高をギリギリまで小さくして、フロア数を増やして建てられているようなマンションも多く存在します。
フロア数を増やすことで販売できる住戸数が増え、その分の売上を上げることができるからです。
例えば高さの制限が45mのマンションの場合、階高の設計によって、作れるフロアの数が以下のように変わってくるのです。
高さ制限45m ÷ 階高3.1m = 14フロア
高さ制限45m ÷ 階高2.9m = 15フロア
階高3.1mなどと余裕をもたせて設計されているマンションの場合は、そのマンションは14階建てになりますが、2.9mとギリギリまで階高を抑えたマンションの場合は15階建てを建てることができてしまうのです。
フロア数を工夫して増やす事自体は悪いことではありませんが、このような階高が低く設定されているマンションの場合は、居室の天井高をできるだけ確保するために「直床」「直天井」構造が採用されているケースが多いため、リノベーションによって天井高を上げることができないケースが多くなります。
まとめ
SUUMO等の不動産ポータルサイトの物件ページには「天井高」についての記載が無いことがほとんどですし、物件の内見の際に「天井高」まで測る方は少ないですが、天井高によってマンションの快適性は大きく変わってきます。
マンションを内見する際には、眺望や日当たりだけでなく、天井高や天井の構造(直天井・二重天井)も意識して確認すると良いでしょう。