マンションを探すとき、多くの方が気にされる「方角」。
最寄り駅からの距離や築年数などと同様に、重要視される方は多いと思います。
一般的には「南向き」のお部屋が明るくて暖かいので最も人気があり、「北向き」のお部屋は暗くて寒いのであまり人気が無いといわれています。
また、「東向き」のお部屋は朝に太陽の光が入ってきて気持ちがよく、「西向き」のお部屋は夏場などは午後の西陽が暑いなどといわれています。
実際のところはどうなのでしょうか…?
目次
そもそも日当りが良いと何が良いのか?
漠然と「家は南向きがいいんでしょ?」と思っている方も多いと思いますが、まずは、そもそも日当りが良いと、どんなメリットがあるのかを考えてみましょう。
◎ 気持ちが良い
とにかくリビングが明るいと「気持ちが良い」ことが最大のメリットかと思います。
やっぱり暗くてどんよりしているリビングよりも、明るいリビングの方が気分が良く、ポジティブな気持ちになれますよね。
◎ 暖かい
太陽の日差しが当たるとお部屋の中はぽかぽかと暖かくなります。
外壁のコンクリートも太陽光の熱で温められるので、夜間でも暖かさがある程度維持され、冬場などは暖房費が抑えやすいといったメリットもあります。
ただし、「暖かい」お部屋も、季節によっては「暑い」と感じることもあるので注意が必要です。
◎ 健康に良い
朝起きてすぐに朝日を浴びると、脳内でセロトニンという神経伝達物質が分泌され、寝起きが良くなるなどの効果があるそうです。
セロトニンにはストレスを軽減する効果もあると言われているので、心や体の健康にも非常に効果的といわれています。
◎ 洗濯物がよく乾く
乾燥機を使う方にとってはあまり関係がないかもしれませんが、外干し派にとっては日当たりはとても重要になってきます。
ベランダの日当たりが良ければ、洗濯物も短時間でカラッと乾きます。
日当たりが悪いと、冬場などはなかなか洗濯物が乾かなくてストレスを感じたり、洗濯物が生乾きで臭ってしまったりするので、洗濯物が乾きやすいというのは意外と大きなメリットといえます。
◎ 植物がよく育つ
観葉植物を育てるうえでとても大切なのが「太陽光」です。お部屋の日当たりが良いと、観葉植物もスクスク育ちます。
逆に北向きのお部屋など、太陽光のあまり入ってこないお部屋だと、観葉植物が元気に育たず、ヒョロヒョロになってしまったり、根腐れを起こして枯れてしまうリスクもあります。
観葉植物が好きな方にとっては、日当たりはとても重要なポイントです。
上記のようなポイントが、日当たりの良い物件の魅力になります。
では、それぞれの方角ごとのメリットとデメリットをみていきましょう。
南向きのメリット・デメリット
◎ 南向きのメリット
最も人気があるといわれる「南向き」のお部屋。
太陽が昇ってから沈むまで、基本的にずっとお部屋が明るく、暖かい時間帯が長く続きます。
また、多くマンション検討者が南向きの物件を希望されるので、将来売却することになった時や賃貸に出す際に売りやすかったり、貸しやすかったりといったメリットがあります。
◎ 南向きのデメリット
南向きのマンションの場合、基本的にはバルコニーと反対側のお部屋は「北向き」になります。
多くのマンションの間取りでは、バルコニーの反対側のお部屋は共用廊下に面していて、寝室として使われることが多いです。
北向きの壁には日差しが当たらないため、コンクリートが冷たく、室内との温度差により結露が発生し、カビが繁殖してしまうリスクがあります。
また、南向きは最も人気があるので、売ったり貸したりしやすい反面、他の方角に比べると価格が高く設定されていることが多いといったデメリットもあります。
東向きのメリット・デメリット
◎ 東向きのメリット
南向きに次いで人気なのが「東向き」のお部屋です。
午前中は朝日が燦々とお部屋に入り込み、気持ちの良い朝を迎えられるのが東向きの最大のメリットです。
冬でも朝日がお部屋を暖めてくれるので、暖房いらずのことも多いです。また、よく晴れた乾燥した日であれば午前中の数時間だけで洗濯物を乾かすこともできます。
夫婦共働きの世帯などにとっては、休日以外の平日の昼間や夕方は自宅にいないことが多いため、唯一自宅で過ごす、朝の時間帯に室内が明るいのは非常に魅力的かと思います。
◎ 東向きのデメリット
一方で、東向きのお部屋は午後には日差しは入らなくなっていきます。
朝が遅いライフスタイルの方や、ご自宅でお仕事をされている方にとっては、東向きはあまり大きなメリットではなくなってしまうかもしれません。
西向きのメリット・デメリット
◎ 西向きのメリット
南向きや東向きのお部屋に比べると人気が劣る「西向き」のお部屋も悪いことばかりではありません。
西向きのお部屋は、午後はたっぷりと太陽の光が差し込みます。
冬場などは午後にお部屋がとても暖かくなるのは魅力的です。夕方まで室内が温められるので、夜になってもしばらくは暖かさが続きます。
また、バルコニーのあるお部屋と反対側のお部屋は東向きになりますので、それらのお部屋を寝室として使う場合には、朝日を浴びながら目覚めることができるといったメリットもあります。
また、高台にあるお部屋や階数の高いお部屋だと、綺麗なサンセットを眺めることもできます。
東向きのお部屋だとサンセットは望めませんので、夕焼けの景色や雰囲気がお好きな方にとっては魅力的かと思います。
そして、南向きの住戸などに比べてやや人気が劣るので、価格が安く設定されているケースが多いといったメリットもあります。
◎ 西向きのデメリット
西向きのお部屋の最大のデメリットは「西日が暑い」という点です。
これも「暖かい」と言い換えればメリットになるのですが、やはり夏場の午後などは、室内の奥まで差し込む西日によって、どうしても室温は上昇してしまいます。
しかし、このデメリットもカーテンやブラインドを活用すれば、ある程度は回避することができます。
ただし、西向きでバルコニー無し(タワーマンションに多い)、もしくは最上階でバルコニーの上部に庇(ひさし)がないような物件の場合は、午後はずっと日差しが入り込むため、日差しが気になる場合はそういった物件は避けておいた方が良いかもしれません。
北向きのメリット・デメリット
◎ 北向きのメリット
そして最も敬遠されがちなのが、「北向き」のお部屋です。「北向きは絶対NG」という方も多いと思います。
しかし、この北向きの物件にもメリットはあるのです!
北向きの窓から見える景色は太陽に照らされているため、明るい景色を望むことができます。
一方で南向きのお部屋から見る景色は影面なので、お部屋は明るくても見える景色は暗いのです。
それがメリット?と思われるかもしれませんが、景色が明るいのは意外と気持ちが良いものですよ!
また、マンションの高層階や、高台にあるマンションなどの場合は、室内に間接的に日差しが入り込むこともあり、北向きでも意外と日中はお部屋が明るいといった物件も時々あります。
そして、西向きと同様、他の方角に比べて人気が劣るため、価格が安く設定されるケースが多いのもメリットといえるでしょう。
◎ 北向きのデメリット
北向きの物件は一日を通してあまり日差しが入らないので、冬場などは室内が寒いというデメリットがあります。
確かに、南向きなどに比べると室温の差は大きくなります。
また、購入する際は安いといったメリットがありますが、逆に、売ったり貸したりする場合には買い手や借り手が見つかりにくくなってしまうリスクもあります。
ただし、この北向きのデメリットもリノベーションをすることによって、窓を二重サッシにしたり、壁や天井の断熱性能を強化したりすることで、ある程度は解消することができるでしょう。
まとめ
以上が、それぞれの方角別のメリットとデメリットになります。
これらのメリット・デメリットはあくまでも一般論であり、マンションの立地、建物の構造、周辺建物の状況、住む方のライフスタイルなどによって捉え方は変わってきます。
例えば、南向きのお部屋でも、窓の前に背の高い建物があれば採光は望めませんし、西向きでも庇(ひさし)や、日差しを遮る木々などがあれば、西陽はあまり気にならないかもしれません。
また、前述の通り、西向きや北向きの物件であっても、デメリットはリノベーションをすることで、ある程度は解消することができます。
そもそもマンションは木造の戸建住宅などに比べると、居室の周囲が別の部屋で囲まれており、断熱性や保温性は非常に高いのです。
バルコニーの方角は物件選びの際の重要なポイントのひとつになりますが、あまり固執しすぎるのはおすすめめしません。
北向きや西向きの物件であっても、条件の良い物件はたくさん存在するからです。
物件探しを始める前から北向きや西向きの物件を除外するのではなく、方角以外の条件が良さそうであれば実際に物件を内見して、日当りや眺望を確認してみることが大切です。人気が無いが故に、掘り出し物の物件が見つかることもあるかもしれませんよ。
東向きの物件は午前中、西向きの物件は午後に内見をすると、日差しの状況が確認しやすく、オススメです!